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July 8, 2009

  • "公演中の或る日、楽屋で勝新太郎が、
    「おい、お前……客っていうのはアレ、何を聞いてんのか分かるか?」
     と唐突に尋ねてきたのだという。返答に詰まっていると勝新はこう言ったという。
    「客はな、役者の台詞なんざ聞いちゃいねえんだ。アレはな、声を聞いてんだ――音を聞いてるのよ」
     なるほどなあ、とその役者は感心したそうだが、又聞きした私も感心した。そういう持論があるから、勝新は舞台上で時折わざと聞き取りにくい小声で、囁くように台詞を言っていたという――意味はわからなくても、歌うようなその台詞回しに、観客は酔っていたらしい。
     また昨年のことだったが、或るお坊さんにお経を唱える意義について尋ねてみたことがある。まったく内容の意味がわからないお経を、皆の前で唱えるのはどうしてなのか、と率直に聞いたのである。するとお坊さんは何でもないことのようにこう答えた。
    「あ、お経はね、別に意味は分からなくていいんです。大事なのは声、音ですね。お経が聞こえる範囲に”音の空間”ができるでしょう? その空間の中に一緒にいる、ということが重要なのです」
     へえ、と私は感心しきりだった。まことに声というのは、奥深いものだと再認識した次第である。"

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    活字中毒R。

    *関連項:裏‐催狐

    (via riywo)(via kemuridama)(via tomisima)(via gkojay)(via jacony)(via hresvelgr)(via d-d-d)(via fukumatsu)

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